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ナラ枯れ

 先日書いた「ナラ枯れ」についてまとめたいと思います。

 正式名称は「ブナ科樹木萎凋病」と言います。被害が確認されているのは、愛知県も含めて23府県になります。西尾市のお隣の岡崎市でも被害が見つかりました。

 ナラ枯れは、落葉ナラ類(コナラ、ミズナラなど)や常緑のカシ類(アラカシ、アカガシなど)、シイ類(ツブラジイなど)が、8月ぐらいから葉がしおれ始め、1~2週間で急激に赤褐色になって集団枯死する病気です。遠くから見ると、まるで紅葉しているかのように見えます。この病気の原因として、「カシノナガキクイムシ」と「ナラ菌」が挙げられます。まず、カシノナガキクイムシが健全な上記の樹木の幹に穿入し、集合フェロモンを出して集中的に大量の穿入(マスアタック)が起きます。そしてカシノナガキクイムシは穿入時に菌(ナラ菌も含む)を持ち込んでいて、その菌を栽培して、菌を食べて生活します。このナラ菌が穿入孔内でどんどん繁殖して、水の通り道である導管を破壊することによって、水不足により萎凋枯死してしまいます。そして、枯れた木から翌年の6~8月に、新しく生まれたカシノナガキクイムシが飛び出して行き、また新たな樹木を枯らし始めます。このように「ナラ枯れ」は、カシノナガキクイムシが病原菌を伝播する「ベクター」の役割を果すことによって起こる、樹木の伝染病の流行なのです。「感染→枯死→脱出→感染」のサイクルが出来上がってしまっているので、「マツ材線虫病」と同じですね。

 カシノナガキクイムシの被害にあっている木は、すぐに見分けることが出来ます。葉が真っ赤になって萎凋枯死して、幹に多くの穿孔痕があり、根元には大量のフラス(木屑や虫の排泄物などの混合物)が堆積しています。このような条件で枯れていたら、「ナラ枯れ」とほぼ断定できます。

 防除方法としては、萎凋枯死してしまった樹木を翌春までに処理したり、ナラ菌に効果のある殺菌剤を樹幹注入する方法や、ビニールを幹に巻いて、穿孔・羽化脱出を防ぐ方法があります。また、被害が発生しやすい里山の管理の仕方も考えなければいけません。ナラ枯れは比較的高齢で、大径の樹木が多い広葉樹二次林での発生が多いです。北日本では、里山林はコナラ林やミズナラ林が多く、昔はコナラ林は生活の一部として利用され、薪を取るために15年から30年間隔で地際から上の部分を伐採していました。その切り痕から新たな芽が吹き出てきて、萌芽更新が行われていたのです。しかし現在では薪を利用しないので、伐採をしないため、萌芽更新が行われず、コナラ林が高齢化してきています。一度高齢化してしまうと、萌芽能力が落ちてしまうため、萌芽更新が難しくなってしまいます。

 ナラ枯れを避けるためには、コナラ林を若い林に更新していくのが有効であることは判明しているのですが、上記の理由で萌芽更新が難しいこと、人手や予算の関係など、様々な問題が絡んできてしまいます。しかし、昔から人間が手をかけて維持してきた「里山」は、水土保全などの公益機能を有するのは勿論ですが、「生物多様性」や、「昔からの風景を守る」という景観の意味でも重要なのです。

 昔から守り続けてきたものを、自分達の世代でなくしてしまうのは悲しいですね。「マツ枯れ」もですが、「ナラ枯れ」も多くの人に被害の実態やメカニズムを知ってもらうことが大切です。

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